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大本山成田山仙台分院の経営

成田山仙台分院の経営

第一節 経営方針

 大本山成田山仙台分院は開山当初より現在まで経営方針として、ランチェスター戦略(注4)を採用している。ランチェスター戦略の原則は、持てる財力及び人力を一点に集中して、そこで他の対抗勢力を圧倒しナンバーワンになることである。大本山成田山仙台分院では、主に祈祷に力を注いでいる。そこで、祈祷客を増やすという目的のもとで行っている、次に示す例がこの経営戦略を如実に示している。祈祷に来た信徒の名前・住所をデータベースで管理し、信徒一人一人に対して、年二回季節ごとに違うお守りを送ったり成田山便りという会報を送ったりしている。また、祈祷に来る回数が多い人順にピラミッド状に並び替え、一定数祈祷を行った信徒に対して、大本山成田山仙台分院に招待し表彰式を行い、直接感謝状を渡している。これは、祈祷を多くこなしたことで仏教に対する貢献度が高いという意味の感謝状である。
 この例は、祈祷というサービスにおいて、参拝客の中からある程度狙いを絞って祈祷に来る人を増やそうという試みだが、実際にこれは効果に現れている。お守りや成田山便りを送った人がそれ以降祈祷に来るかどうかの統計を寺院側でとっていて、その結果は100%を超えるということなので、確かな影響があるといえるだろう。
 現在大本山成田山仙台分院の経営は、お守り(縁起物)の販売、祈願・祈祷、墓(納骨堂、永代供養墓)の三本柱で成り立っている。その具体的な部分を以下の節で記述する。
(注4)ランチェスター戦略・・・近代的なОRの開祖であるイギリスの技術者ランチェスターが、第一次世界大戦末期に戦闘の兵員力と戦闘結果に関して導き出した数学法則をマーケティング分野に応用した戦略である。この法則はランチェスターN二乗法則といわれ、例えば、A社とB社のセールスマン数の比が2対3のとき、販売力の差は2対3ではなく、4対9になるというものである。つまり、販売戦略において、重点的なセールス活動の有効性を強調する戦略である。

第二節 縁起物(お守り)

 大本山成田山仙台分院の経営の一つ目の柱は縁起物(お守り)の販売だ。大本山成田山仙台分院はお守りの種類が豊富である。その中で、最も多く売り上げているのは、「勝守り」と「身代わり守り」の二つである。この二つはどちらも成田山にゆかりのあるお守りで、前者は本山である千葉県の成田山新勝寺の名前に由来しており、勝負ごとに勝つというお守りで、後者は江戸時代に成田山の建築にかかわったある人の逸話(注5)に基づいたお守りである。やはり成田山というブランドがお守りの販売に拍車を促進させていると思われる。
 お守りは正月によく売れ、お守りの売り上げ全体の八割をここで売り上げる。残りの二割はお守り通販による売り上げである。お守り通販とは、成田山の他の分院では行っていない、大本山成田山仙台分院だけが行っているサービスであり、遠方に住んでいる方で直接来山できないという方にも気軽にお守りを手にしてもらえるようにという目的で始めたものである。お守り通販は平成22年から始まったもので、年々受注件数は増えており、平成27年の9月の時点で開始した年の個数の5倍以上の受注数になった。
 このように人気を博しているお守り通販であるが、他の分院ではなかなか行うことが難しいサービスであるがゆえに、大本山成田山仙台分院のみにとどまっている。大本山成田山仙台分院がお守り通販のサービスを行うことができる理由として、大本山成田山仙台分院とは別の法人の存在が大きく関係している。それは株式会社である。この会社は、平成10年設立で、主にインターネット環境やウェブサーバの構築を仕事としている。そしてこの会社の最大の特徴といえば、社長が現住職であることだろう。そのためオフィスと寺院の受付が同じ場所にあり、社員が寺院の運営を手伝うこともあるという。寺院運営においての主な仕事は、ホームページの運営、お守り通販の管理などネット環境に関わる部分であり、寺院側から委託されて業務を行っている。テレビのCMなどによる広告を一切行っていない大本山成田山仙台分院にとっては、インターネットによる発信が主流になっているため、この会社の存在はとても大きいものとなっている。

お守り通販年間販売個数推移
お守り通販年間販売個数推移

(注5)逸話・・・江戸時代に千葉県の大本山成田山新勝寺の山門仁王門再建の折に大工の辰五郎が誤って屋根から10メートル以上も落ちて身に着けていた焼印を押したお守りは真っ二つに割れて、お不動さまの霊験により怪我ひとつなく助かったと、成田山の身代わりお守りの霊験利益のひとつとして語りつがれている逸話。

第三節 祈願・祈祷

 大本山成田山仙台分院の経営の二つ目の柱は、祈願・祈祷である。祈願・祈祷には下表に示した通り多くの種類が存在する。仙台分院は祈祷寺院なので、祈願・祈祷にもっとも力を入れていることは先程述べたとおりで、信徒に対して働き掛けて祈祷に来る人を増やそうとしている状況である。
 成田山における信仰対象は、不動明王であり、信者たちには「お不動様」と呼ばれ親しまれている。大本山成田山仙台分院における祈祷は、護摩木という薪をご宝前で焚き、同時に導師が祈願者の名前と願いが成就するように一心に念じる密教の秘法である。(大本山成田山仙台分院ホームページより)
 祈願・祈祷を中心に運営している大本山成田山仙台分院だが、表4のような祈願・祈祷だけを行っているわけではない。その中でも信徒側からの発信によって生まれたものと、寺院側の新たな試みによって生まれたものがある。

祈願・祈祷一覧
厄払祈願御祓い家内安全
身体健全無病息災当病平癒
心願成就災難消除開運成就
学業成就合格祈願事業繁栄
商売繁盛就職成就良縁成就
交通安全安産祈願子宝成就
夫婦円満家庭円満必勝祈願
安全祈願工事安全工場安全
旅行安全海上安全大漁満足
五穀豊穣願解御礼厄難消除
節分祭七五三お宮参り
方災除外祭人形供養
御焚き上げ寄進供物
奉納旗

第一項 人形供養祭・節分祭
 祈願・祈祷に関して、信徒側からの要望に応えているものは、人形供養である。表2に記載されているが、大本山成田山仙台分院が人形供養を公に行い始めたのが平成16年である。その前から一年に一回ほど人形の供養を行っていたのだが、その模様をテレビのニュースで取り上げられたのをきっかけに問い合わせが増えて、公に行うようになった。また、現在では、年に一回、仙台市内の保育園児約200人を寺院に無料で招待して人形供養祭を開いている。この人形供養祭は寺院側でバスを用意し、園児一人一人に対して雛あられを配って、園児たちに人形を大切に扱おうという気持ちを持ってもらうために行っているものだ。この祭りは、園児たちが目の前のたくさんの人形を見て楽しんでくれたらという願いと、今は寺院について全く知らなくても、大人になってから子供のころ寺院で人形供養をしたということを思い出して、そこから信仰につながればいいという願いが込められた祭りである。この人形供養祭から寺院経営について考察するに当たり、気になるのは、寺院側が費用をすべて負担して園児を無料で招待するという部分だ。バスを約10台、人数分の雛あられの総額50万円以上を寺院側で負担しているとなれば、寺院の経営に与える影響は少なくないはずである。しかし、それでも全額負担するのは、先程述べた二つの願いの実現のためと、寺院としての本分を全うするためという理由があるからだ。寺院は仏教の信仰を広めるためのものとの考えが念頭に置かれており、寺院の金銭的な利益よりも、園児たちに対して普段から人形を大切に扱うようにという考えを根付かせるという公益の方を重視している。
 そしてもう一つ、公益的なものがある。それは節分祭である。2月に寺院で行われる節分祭には、信者の方たち向けに祈祷をする日と留学生を招待して日本の文化に触れてもらおうという日がある。公益的なのは後者の方である。この留学生を招待することに関して協力している団体がある。それは「萩の会」だ。「萩の会」とは、在仙外国人留学生と、その留学生ご家族を対象に、手作りで日本の伝統文化にふれ合いながら、異文化交流を通し国際親善、国際交流を目指す目的で作られた団体である(「萩の会」ホームページより)。大本山成田山仙台分院が日本の文化を発信することに一役買っている。こちらも、人形供養祭と同様に経営に関わる部分ではなく公益性を重視している印象を受ける。外国の方々に、日本の文化とともに日本の仏教についても学んでほしいという意図が読み取れる。
 このように大本山成田山仙台分院では、祈祷に関して直接的に寺院経営に関わるものだけではなく、公益性を重視している取り組みを行っている。
第二項 インターネットの活用
 大本山成田山仙台分院では、祈願・祈祷に関して、H26年までインターネットを活用した取り組みが存在した。それが、「ネット祈願」と「ネット水子」である。「ネット祈願」とは、祈祷を申し込みたい人が、遠方にいても祈祷を受けられるようにと始めた取り組みで、寺院に送られてきた申込書を寺院側で祈祷し、それをデータ化したのちに添付ファイルで申込者に送るというものである。そして「ネット水子」とは、水子供養をしてもらいたいが、遠方に住んでいるため寺院に直接行くことができないというような人のために、インターネットを活用して水子供養をするという取り組みである。サーバ上に水子地蔵を作り、申込者それぞれにIDを発行することで、ログインすればいつでも水子地蔵を拝むことができるというシステムである。どちらも非常に好評で、取り組みを開始してから年々申込数は伸びていったが、H26年に終了することとなった。終了したとはいっても、新たに受け付けないだけで、これまで利用していた方々は、これまで同様アクセスして水子地蔵を拝むことができる。
 終了した理由として、インターネットによる祈祷や供養だと寺院側からの一方的なやり取りになってしまうため、申込者が本当に信仰を持っているのかどうかが不透明になってしまうということが挙げられる。水子供養に関していえば、一回供養すれば良いというものでもなく信仰をもって何度も拝むことが大事である。これを、インターネットによるものでは、寺院側から確認できないため、寺院側としては不都合だといえる。
 好評だったとは言え、寺院を運営するうえで最も大事なのは「信仰」であるということがわかる。

第四節 墓(納骨堂・永代供養墓)

 大本山成田山仙台分院の経営の三つ目の柱は、納骨堂・永代供養墓などの墓関係のものである。この寺院は祈祷寺院であるため、祈祷を中心としているが、そのほかにも納骨堂・永代供養墓の管理なども行っており、檀家寺の一面も兼ね備えている。檀家の軒数(納骨堂・永代供養墓利用者数)も開山当初は数軒だったが、現在では少しずつ増えているところを見ると、檀家寺としての需要も十分にあると考えられる。この檀家の軒数が飛躍的に伸びたのは、平成に入ってからで、特に平成23年3月に起きた東日本大震災以後に大きく伸びている。地震による損壊や津波によって墓が流されてしまった人たちが、新しく墓を建てるよりも比較的安く済む納骨堂を求めるケースが多い。その納骨堂だが、墓と同じで利用者自らで維持・管理しなければならない。しかし、少子化や核家族化など、現代社会におけるライフスタイルの変化に伴って、自らで管理・維持するのが難しいという人が出てくる。実際、大本山成田山仙台分院にも信徒側から、納骨堂のようなもので、自分たちで管理しなくてもよいようなものはないかという問い合わせがあったそうだ。これを機に、大本山成田山仙台分院では永代供養墓のサービスを開始した。永代供養墓は、寺院側が合祀型で多数を供養するので維持・管理が比較的楽であるというのが特徴である。
 納骨堂や永代供養墓のような墓の類は、祈願・祈祷を主に行う祈祷寺院においてはあまり見られないサービスであるが、祈祷寺院は祈願・祈祷だけを行えばよいということではない。大本山成田山仙台分院においての納骨堂利用者は先程も述べたとおり年々増加傾向にあり、このように、信徒側からの需要は増してきており、祈祷寺院に対しても檀家寺院のような役割が求められているといえる。
 大本山成田山仙台分院としては、納骨堂や永代供養墓のサービスも祈願・祈祷に関連したサービスの一貫として考えている。祈祷に来て信徒になった方が、納骨堂や永代供養墓を求めて寺院側に問い合わせたことで、大本山成田山仙台分院の墓関連のサービスが始まり、現在まで続いている。ここに、祈願・祈祷から派生して墓につながるという流れができるため、墓関連のサービスも祈願・祈祷の一貫であるといえるのだろう。寺院の中には副業としてマンションや駐車場を経営して寺院を運営しているものもあるが、仙台分院では祈願・祈祷に関連しているサービスのみ行い、マンションや駐車場など直接的に寺院にも祈願・祈祷にも関連しないサービスは行わない方針である。次ページの図1におけるTが大本山成田山仙台分院の経営理念を簡略化して図にしたもので、Uが寺院とは別にマンションや駐車場を経営している寺院の経営理念を簡略化したものである。寺院を運営するにあたって供養や墓関連のサービス、マンション経営など以外に必要なものが存在すると思うが、図を単純化するためにここでは省くものとする。墓関連のサービスは、信徒とのつながりの中から派生して生まれたサービスであるがゆえに、祈願・祈祷を行いに来た信徒が、墓関連のサービスを大本山成田山仙台分院にもたらしたといえる。しかし一方で、マンションや駐車場経営は、信徒がそのマンションに住んでいることや、その駐車場を使用しているなどと間接的に関わることがあるかもしれないが、墓関連のサービスのように寺院としてのサービスとは言えない。それゆえ、大本山成田山仙台分院では、寺院としての本分を見失わないようにするためにも、あくまで祈願・祈祷から派生した、寺院としての役割を持つサービスのみ行っている。また大本山成田山仙台分院のお布施はわかりやすく料金を明示しています。

大本山成田山仙台分院における寺院経営においての理念
大本山成田山仙台分院における寺院経営においての理念

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